読書。

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恒川光太郎『秋の牢獄』。以前の作品『夜市』の紹介はこちら。
相変わらずの凄まじいクオリティ。怖さと切なさを同居させた透明感のある文体はこの人ならでは。幻想的な話を読みながら、知らぬ間にその世界に引きこまれていく。ひやりとした怖さがあります。
「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の三篇が収録されているのだが、『なにか』の力によって囚われてしまった人の内面をていねいに描いていく。
『なにか』に囚われた人の心が疲弊し、すさまじい諦念に襲われるそのさまが、なんともいえない。ファンタジカルな怖さだけではなく、人間の『心の変化』の怖さもあります。兎に角読め!良いから読め!といえる物語です。『雷の季節の終りに』って言う作品も読んでみたい。